G7

過去、所謂先進国の枠組みから外れて中進国・途上国に分類されるグループに移動したのはアルゼンチンだけです。日本も近々先進国から除外されてアルゼンチンの様になるのでは・・という記事を時々ネットで見かけますが・・。「先進国」とはOECD(経済開発協力機構)に加入している国で、尚且つ1人当たりのGDP(国内総生産)が年間で1万ドル以上の国とされ、現在は36ヶ国程度、それ以外が途上国と定義されています。定義自体は明文化されておらず、先進国グループの協議の過程で決まったルールです。G7はその先進国の中でもトップランクに位置するグループとされています。現在のメンバーは日本、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、イタリア、ドイツの7ヶ国です。私は以前から先進国や発展途上国といった分類はもう時代遅れなのではないかと感じていました。価値観が多様化している今の時代に単純な物差しだけで「先進国とそれ以外」といった一方的なランク付けは無意味であり、国同士の対立や競争をムダに煽り、根拠の無い優越感と有り難迷惑なリーダー意識を持つ「裸の王様国」を生み出すだけなのではないかと。「G7」(group of 7:先進7ヶ国)についても「先進国の中のトップグループ」という枠組ではなく「政治経済協力機構」のような、地域限定的な多国間協議会として再定義した方が良いような気がしますね。現在のG7は「自分達先進7ヶ国が世界をリードし管理する」という時代錯誤なリーダー意識が空回りしているような気がします。自分達が世界を導くシェルパ(案内人)だ!といった姿勢が世界から反感を買い、最近では殆ど無視され注目度も下がっています。G7の各国内でもG7の会合に反対するデモが発生しています。現在ではG20や東南アジア連合等の「先進国」以外の国々が主導する国際会議の方が遥かに注目され、影響力も強まっています。そろそろ「先進国」「途上国」というランク付けを廃止するべきでは・・という気がしますね。現在のG7は民主主義国の中でも人口・経済規模が大きなグループであり、そうした国々が定期的に首脳会合を開く事は世界にとっても有益で望ましい事ですから会合自体は今後も継続した方が良いと思いますが。ただ、「先進国」というカテゴリーや、自分達が世界のsummit(頂上)、リーダーだというスタンスを見直すべき時期に来ているのでは・・と思いますね。「先進国」というカテゴリーはIIMF(国際通貨基金)の様な国際金融関連組織や国連等にも認知され、世界経済の安定化や国連の資金調達にも貢献している部分があるので、「先進国」の枠組みの撤廃は中々難しいだろうとは思いますが・・。G7が先導役をしなくとも、国連や国際裁判所、各種国際機構・国際会議等がその役割を果たせるようになってきています。また、日本は「先進国のG7のメンバー」という肩書きを維持する為に多額の国際支援金を負担してきました。日本が自主的に支援を申し出た場合もありますが、他のG7メンバー国の同調圧力によって支出せざるを得なかったという部分も大きいと思われます。先日もインドやウクライナへの身の丈以上の巨額の支援を決定しましたが、G7のメンバーでなければそんな出費はしなかったでしょう。無論、日本が支払って日本企業が現地で受注するという環流型の支援もありますが、ただ金だけを投入して実際にどれだけのリターンが日本にあったのか評価出来ない援助も多い。「先進国のG7メンバー」「世界のリーダーグループとしての役割」という肩書きが無くなれば、分不相応な負担を背負わなくて済むのではないかとも思います。

ともあれ今年のG7の主催国は日本で、広島で開催予定です。色々書きましたが、実りの多い会合となる事を願っています。