宇宙と言えば・・

先日、JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)が、予定していたH3ロケットの打ち上げについて、システムの一部に支障が生じて打ち上げが中止となった旨の発表をしました。マスコミは「技術カ不足による失敗だった」「JAXAは失敗だと認めず言い訳ばかり」「巨額の税金を投じているのに全く成果が出せない無能組織」と袋叩き状能ですが、確かに年間約1600億円もの税金を使っている上に何年もかけて準備していたわけですから、ここは打ち上げに成功して欲しかったと思いますが・・まぁでも機体が大きく損傷するような事態にならなくて幸いでした。エンジン部分が大爆発して機体が木っ端微塵にでもなったらまた巨額の税金が費やされてしまうところでした。次回の成功を祈るしかありませんね。宇宙開発事業については、日本よりも世界、特に欧米の動きが以前からずっと気になっていました。1970~80年代にはアメリカがボイジャーやパイオニア等の様々な探査機を打ち上げ、火星や金星、木星土星等の調査を行って各惑星の地表の映像や大気の成分・気候などの分析結果を公表し、世界の目を宇宙に向けさせてくれました。同時に月や火星への移住計画も提示され、2000年代前半には人類は火星に移住を開始しているだろうとの見通しが立てられていました・・が、現在2023年、火星どころか月にも行かなくなりました。地球の近くに土星のような形のスペースコロニーを浮かべて移住するという計画もあったようですがコロニーどころかスペースシャトルすら廃止されてしまいました。スペースシャトルの後継機としてスターライナ一が運用されていますがトラブル等も多く十分に活用出来ていない状態です。宇宙での活動拠点となる宇宙ステーションの新設も無く、今では中国の有人宇宙ステーションの天宮号、日本も参加協力しているアメリカの国際宇宙ステーション(ISS)だけとなりました。2011年に完成した国際宇宙ステーションは老朽化が懸念されていますが2030年まで運用されることが決定し、それ以降の運営は民間会社に引き継がれる事になるようです。数年前に欧米の民間会社が宇宙船を作って火星に人を送り込もうと計画し、二度と地球には戻れないという条件付きで乗員を募集し多数の応募者の中から搭乗員も決定しましたが、末だにそのプランは実現されておらず事実上中止となっています。アメリカの若き富豪のイーロン・マスク氏も火星への移住計画に意欲を見せ、2050年までに人類を火星に移住させるという目標を掲げてアメリカ国内で宇宙船の建造を開始していますが、見通しは不透明です。極寒の火星を人間に適した環境にテラフォーミングする為に核爆発で暖めるという構想もあるようですが、そんなマンガみたいな発想で大丈夫なのかという気もしますが。月の探査計画や移住プランについてもアメリカ主導のアルテミス計画なるプロジェクトが始動し、昨年秋に無人探査ロケットが打ち上げられました。最終目標は月の詳細探査と資源開発の基盤整備とのことですが、多分計画は尻すぼみで終了し、月の小石だの大気の成分だのといったお土産を持ち帰って終了でしょう。NASAは何かしているフリをしているだけという気がします。私と同じ中高年世代は、あれほど情熱的だった欧米の宇宙への意欲がある時期を境に一気に低下してゆく様を見てきました。そして、その低下してゆく宇宙への情熱と反比例してアラブ諸国やロシア・中国をコントロールしようとする意欲が高まってきているような気がしないでもありません。民間企業は別として、欧米の主要国政府は宇宙支配から地球支配へと注力対象を1つに絞ったような印象があります。中国やロシアが宇宙ステーションの開発を進めていても対抗するような動きも無く、地上での覇権争いに専念している感じです。中国やロシアはいずれ欧米の技術開発の現場から完全に締め出され、やがては宇宙開発も行き詰まる。欧米もそれくらいは分かっていますから宇宙で対抗する必要も無いのでしょう。以前にブログ内でも書きましたが、技術者の「知の喜び」の自由を奪う独裁政権下では技術革新など不可能ですから。ではなぜ欧米は宇宙開発に及び腰になってしまったのか・・。これについては様々な要因が考えられます。政治情勢、予算の問題、事故による人命の損失、企業のモチベーション、地球を離れる事に対する心理的不安、政治家の理解不足など。ただ、将来地球の環境が悪化すれば本格的に宇宙に出て行かざるを得ない状況になるので、その為の基盤整備は継続して行く必要があるでしょう。子供の頃、雑誌やテレビで2050年頃までには宇宙船による火星との往復航路が始動しているだろうという予想を見てワクワクしていたものですが・・遠い昔の話です。