宇宙と言えば・・②

欧米の宇宙開発のスピードが鈍化しているのは何故か・・という考察記事の続きです。前回の記事では、そもそも「宇宙開発のスピード」はその時々の国際情勢によって変化するものであり、特に国が主導する宇宙開発の場合、資金調達や政治情勢、宇宙開発に伴う人命の損失への懸念、政治家の理解不足等が宇宙開発を足踏みさせる事もあるでしょう・・というところまで書きましたが、そうした様々な要因の中で私が特に注目しているのは政治的・技術的なものではなく心理的要因です。心理的要因にも多くの種類があり、宇宙に行った場合の健康被害や孤独感に対する不安、事故や病気の際に十分なケアが受けられない事への不満や不安、死に対する恐怖など、様々な心理的要因があると思いますが、そこには「体の変化に対する不安と恐怖」も含まれるのではないかと思います。現在の人間の姿は生命が地球の環境に適応して進化した結果の1つの形態であり、地球とは全く環境の異なる宇宙船や他の惑星に移住すれば、必然的に外見も変化して行くでしょう。世代を重ねて行けば手足の形、肌の質や色、顔立ちまで全て変わる可能性があります。爬虫類のような肌に小さな頭、短い手足といった容姿になるかもしれませんし、重力が小さな環境に適応してクラゲのような無脊椎動物に近い容姿になるかもしれません。海外の科学誌にはそうしたSF的な想像画が時折掲載されています。一流誌でも「陸地の殆どが海に沈んだ場合、人間の首に魚のようなエラが発生して水中でも呼吸出来るようになるかも?!」という予想に基づいてエラを持った人間のイラストなどを掲載したりしています。欧米、特に白人社会は環境の変化に伴う容姿の変化を激しく拒絶している面があります。勿論アジアやアフリカの社会でもそうした傾向はありますが、欧米の白人社会はその傾向が著しく強い。現在の白人の容姿が生命の完成美、最も理想的な容姿だという思いがあるような気がしますね。現在の高度な医療技術、美容整形技術、アンチエイジングの研究、高度な形成外科技術は白人社会の「現在の人体機能や容姿を維持したい」という意識の強さの具現化です。アジア人にも「若さと美しさと健康」を維持したいという意識は勿論ありますが、アジア人らしい特徴を維持したいという意識はあまりないような気がします。対して白人、コーカソイド系は「若さと健康」と「コーカソイドの特徴」を維持したいという意識が強いような気がします。白人の容姿や肉体美を表現した彫刻芸術などもその意識が生み出したものと言えます。そんな白人社会ですから容姿が変わってしまう事を常に心配しています。SF的な人体の予想画を描くのはその不安の表れかもしれません。日本人や中国人はそんな不安はあまり抱かないでしょう。「宇宙の環境で人体が変わるのは当然。トカゲやクラゲになるしかないならそれでもOK」という感じだと思いますが、白人にはそんな事は想像すらしたくない、耐えられない変化なのかもしれません。いざ宇宙に出て行くという時は、現在の容姿を捨て去る覚悟をしなければなりません。一旦宇宙に出て子孫がトカゲやクラゲになってしまえば、それが宇宙でのスタンダードになるのだから大した問題では無い筈です。しかし、白人社会はそれを簡単には容認出来ない・・トカゲやクラゲになるくらいなら地球に留まる事を選ぶかもしれません。そうした意識が欧米の宇宙開発を鈍化させている要因の1つである可能性も、全く無いとは言い切れないのではないかと思いますね。但し、あと数億年後には太陽の膨張が始まり地球の海は干上がるとも予想されています。それよりもっと早い時期にその兆候が出始めるかもしれません。太陽も推定年齢45億程度で人間に例えるならアラフィフです。予想不可能な体調不良が発生しても不思議ではない。極端な話、太陽の変化によって来年から地球の気温が急上昇する可能性もあります。生き残りたいなら早い段階で少なくとも地球を脱出して火星に移るか、それ以遠の惑星に移住、あるいは太陽系を出て行く必要があるでしょう。危機的状況になった時にはもう容姿がどうのこうの言っている場合ではないので人類は全力で宇宙に飛び出して行くしかないと思いますが。しかし、世界は末だに肌の色や顔立ちといった、どうでもいい小さな違いによる差別について議論している段階ですからねぇ。宇宙に出て行くという前提で物を考えていない。現在の容姿なんてほんの一時的なものに過ぎない、宇宙に出たらみんなトカゲやクラゲに枝分かれして行くんだから、肌の色とか瞳の色とかどうでもいいでしょう。宇宙に出ればいずれ容姿が多様に変化して行くことを世界共通の認識にすれば容姿による差別も減って行くでしょう。個人的には欧米がそうした意識を広める先導役を務める事を期待していましたが、前述のように欧米人、特に白人は現在の容姿を維持することに執着していますからねぇ。その執着を捨て去らない限り、火星に降り立つ事は出来ないかもしれません。意外と、それを実現するのはアジア人やアフリカ人かもしれませんね。