老後の健康と住環境

以前、知人と話した際に高齢の母親が目の病気に罹ったので、それをきっかけに老後のプランを見直したという話を聞きました。母親の目の病気は遺伝する可能性もわずかながらあるので、万一母親と同じ病気に罹っても通院し易いように総合病院の近くに転居したそうです。定期検査や発病のリスクを下げる予防策などについても医師のアドバイスを受けているとのことで、夫婦で計画していた山荘での老後生活を断念し、市街地のマンションに移ったそうです。私より少し上の世代のご夫婦の話ですが、やはり年齢と健康のリスクを考えると当然ながら老後の生活設計には様々な制約が課される事になります。万一失明したら、癌になったら、骨折したら、糖尿病が悪化して透析が必要になったら、心肺機能の低下等で頻繁に通院しなければならなくなったら?・・1つ歳を取る毎にあらゆるリスクが上昇するので日常生活を維持するだけで精一杯という状態になるでしょう。配偶者や子供や孫がいても迷惑を掛けたくないからあまり頼れないと考える人が多く、身内がいない場合は更に孤立化し易い。そうした現実を考えると、やはり医療・介護サービスにアクセスし易い居住環境がベストだろうなと思いますね。なので以前から考えていた南紀への移住という選択肢はほぼ無くなりました。無論、南紀にも充実した医療施設は色々あるのですが絶対数が少なく、また医療施設の近隣で手頃な土地家屋物件を見つける事は難しい。やはり交通アクセスの利便性を考えると・・という感じです。過疎化によって医療施設そのものが閉鎖となる可能性もあります。和歌山行きは断念し、老後の住まいについては白紙に戻してプランを立て直そうと思っています。

老後の生活設計といえば遺産相続や遺言書等の問題が付き物です。現在、相続した実家の土地家屋を売却、あるいは相続放棄や国庫に返還するケースが日本中で激増しています。殆どの人は身軽になって気楽な老後生活を送りつつ終活の準備をしたいと考えています。昭和時代なら先祖代々の土地を捨てるわけにはいかないとの義務感から無理をしてでも死ぬまで所有している人が多かった様ですが、勿論今もそういった考え方の人もいますが、少子化が進む中、維持管理にかかる費用や労力を考えて処分に踏み切る人が激増している状態です。とはいえ、売却したくても直ぐに買い手が見つかるとは限りません。家屋を解体して更地にすれば殆どの場合買い手が付きますが解体には数百万単位の費用が掛かります。その為経済的に余裕が無いからと解体も管理もしないまま放置して廃墟状態となり近隣に迷惑をかけるケースが急増しています。所有者が行方不明、あるいは長期間相続手続きを怠っていた為に相続人の数が多数に上り土地の売却手続きが中々出来ない場合も多いようです。