英語の話

若い頃、英語を習得して海外で働く事が出来たら・・とずっと思っていました・・が、中年というより既に初老に近付いている今となってはもう実現不可能ですが。日本より経済水準の高い国に行って稼ぎたいというのは、殆どの人が一度は考えた事があるんじゃないかと思いますが、そこで大きな壁となるのが英語の習得です。日本語と英語は言語体系が全く異なり共通点が皆無ですから、それぞれの母語話者が互いの言語を習得する難易度は最も高いとされています。しかも英語は現時点で世界の共用言語として最も汎用度が高いので日本人にとってたとえ習得困難であっても海外で働く場合は学ばざるを得ない状況です。勿論、バイリンガル教育を受けていた人や元々言語能力の高い人なら英語習得はさほど困難な事ではないと思いますが、言語能力が平均かそれ以下で学校で一通りの文法と単語を受験用に暗記しただけの場合は発音や聞き取りのレベルが低く、かろうじて日常会話が出来るかどうか、あるいはそれすらも出来ないという場合が多いのではないかと思いますね。その状況は昭和も令和も似たようなものだろうと思います。一方で、英語は言語としてはあまりに日本語とかけ離れているので、両極端の性質の言語を操る事で脳がストレスを感じて思考カや集中力が低下するという研究結果等もあるようです。特に子供時代はモノリンガル(1言語のみ)で過ごした方が総合的な思考カ・認知力が高まるという見方もあるようです。

昔、観光旅行でアメリカに短期間滞在した時に、ある瞬間からニュース番組のアナウンサーが日本語を話すようになり、同時に、喋ろうとすると日本話の単語が直ぐに出て来ず代わりに英単語が出て来る様になりました。アメリカ人のアナウンサーが日本語を話しているように思えるくらいに英語が馴染んできた事に驚き、知らない間に自分の言語が切り替わろうとしていると実感しました。まぁ帰国したら直ぐに日本語オンリーに戻りましたが。英語は効率的でムダが無く、何というか日本語より数学的で話す者の知的レベルがハッキリと出る言語です。日本語が暗記した漢字の数や単語量を競い合う言語なら、英語は数式のレベルを競い合う言語という感じですね。理論的思考カの優劣を競う。だからアルファベット26文字だけでも問題ない。そしてそれ故に身分や経済力に関係なく会話する者同士を対等にしてしまう力を持っている。理論的思考を深めるのに適した英語、記憶力と共感力、哲学的な思考力を育む日本語という分析をする人が多いのも納得できる気がします。ただ、日本語で育った人間にとって英語はモノクロの世界です。2000種以上の漢字とひらがなカタカナを組み合わせて紡ぐ日本語は極彩色の世界であり、その華やかさに比べると26文字だけの英語の世界は視覚的には砂漠に等しい。この辺りの苦痛は漢字圏の国の人間なら特に強く感じるのではないかと思います。今でも英語は暇な時にちょっとずつ勉強していますが、まぁ退屈しのぎという感じですね。