アメリカ~僅差の中間選挙

先日アメリカで中間選挙が実施され、上院・下院の一部の議席が改選されました。が、上院下院ともに民主党共和党が接戦の状態で、現在もまだ選挙結果が確定していない州が一定数あり、どちらの党が連邦議会過半数を獲得したのか判明していない状態です。が、上院は共和党が1議席リード、下院でも共和党が優勢ですので、上下両院で共和党過半数を獲得して勝利する可能性が高くなっています。民主党が苦戦している理由は、やはり何といってもアメリカ国内の急激なインフレにあると思われます。物価の急騰に賃金が追いつかず、生活に困窮する人が急増している状態のようです。日本でも円安によるインフレが徐々に進行していますが、アメリカに比べれば緩やかな上昇率ですから賃上げでカバー出来ないこともないという段階です。民主党のその他の敗因としてはウクライナへの際限ない支援金投入に対する保守派国民の不満が高まっているという指摘もあるようです。共和党政権だったならインフレを回避しウクライナへの支援に上限を設けて抑制出来た・・という訳でもないと思いますが、保守派の共和党は経済面でも急激な変化を嫌い排他的ですから金利の上昇を抑制して現状維持を堅持し、ウクライナ紛争にも深入りを避けて資金援助の規模も民主党よりは小さかったでしょう。アフガニスタンがら米軍を完全撤退させたのも共和党のトランプ政権です。ただ、共和党には白人至上主義とキリスト教至上主義という大きな足かせがついています。妊娠中絶についてもキリスト教に反する行為だとして反対しており、レイプで望まない妊娠をさせられた場合でも、妊娠で母体が危険な状態でも中絶は許さないと主張しています。また、欧州からの金髪碧眼の移民には比較的寛容ですが南米からの黒人やヒスパニックの流入には激しく反発し、メキシコとの国境に壁を造ろうとまでしていました。南米からの不法入国による移民が多いのは確かなので、この点は共和党の主張にも一理あるように思えますが。ただ今後は黒人やヒスパニックの数が急増して白人は少数派になる見込みですから、その反動として共和党の白人至上主義的な主張は益々顕著になり、共和党を支持している裕福なヒスパニックや黒人層も共和党の白人至上主義に耐えられず離反してゆく可能性が高いと思われます。今回の中間選挙民主党の幾つかの失策と、非白人の台頭を嫌うようになった白人が共和党に流れた結果のような気がします。民主党が意外と善戦したと報じられていますが、現在の人種比から考えれば当然予想出来た結果です。現段階では白人の人口は非白人上を少し上回っていますから、それがそのまま選挙結果になっている印象です。あと数十年、早くて十数年で白人は少数派になります。そうなるとたとえ民主党が失策をしてしまっても共和党は政権を獲れなくなる可能性が高い。そうなった時、共和党は白人主義やキリスト教至上主義を捨てて自己改革するだろうか・・個人的には主義主張は変えないだろうと思いますね。万年野党になった時点で独立国家を樹立しようとする可能性も結構高いのではないかと思いますが、そういう動きがあったとしても武力戦争にはならず、平和的に独立するんじゃないかと思います。イメージ的には英国連邦からスコットランドが独立するような感じになるんじゃないかなと。元々北米大陸は各国の植民地の集合体のようなもので各州が独立国みたいなものでしたし、再度その一部が独立したとしても何の不思議もありません。南米大陸も多くの国に分かれていますし。個人的に、共和党の白人至上主義やキリスト教主義も心情的には多少は理解出来ます。他者を積極的に侮辱したリ攻撃したいわけではない、ただ自分達の世界を守りたい、自分らしく自分のペースで、自分と同質の人々とストレスなく暮らして行きたい、異質な人々に入ってこられても付き合い方が分からないし付き合う気にもなれない、最新の流行や技術を追うことを強要されたくない、ちょっとくらいアナログな人生でも構わない・・共感出来る部分も確かにあります。白人と非白人の比率が逆転し、その結果アメリカが内乱状態になった場合、国力は低下し世界におけるアメリカの存在感や影響力も低下するでしょう。当然日本の安全保障もそれによって大きな影響を受けます。日本はアメリカの国内情勢を今以上に注意深く観察分析する必要があると思いますね。