世界人口80億人と日本の農業

先日、世界の人口が(公的統計上は)80億人に達したというニュースが話題になっていましたが、2050年頃には100億人に達するだろうと試算されているそうです。地球の資源や食糧の生産総量には上限がありますから、当然、養える人口にも限りがあり、現在の世界の食糧生産総量で養える人口の上限は100億人程度までと試算されています。但し気候変動や土壌の劣化等で食糧生産量は年々減少しているとも言われていますから、実質的にはもう上限に達しているという見方もあるようです。地球上に占める陸地の割合は約3割程度、その3割の中でも食糧生産に適した土地は限られています。最近は世界中で食糧争奪戦が更に激化しており、海洋資源についても各国が縄張り争いを繰り広げています。世界の食糧争奪戦は通貨の弱い国のインフレを加速させていますが・・日本も円安で食料品が高騰しています。アメリカは逆にドルが強くて金利が上昇しているので急成長に伴う物価高となっています。個人的には、日本に限って言えば、人口を適度に抑制して適正人口を維持し、農地の整備を促進し農業者人口を増やせば食糧危機は回避出来るのではないかと思っています。日本は今のところ水源が豊かで気候も農作物栽培に適していますし。後は外国からの輸入品との競合が課題ですが、食糧資源はこの先世界中で高騰しますから日本に安い輸入食材が出回ることは無くなるのでは、という気もします。農業人口を増やして食糧自給率を高め、それによって国民が高い輸入食品に頼らざるを得ない状態に陥ることをある程度は防げるのではないかと思います。個人的な話になりますが、子供の頃に田んほで米作りの手伝いをしていた経験から言うと、農業は大変ですが結構楽しいと思いますね。私の家は専業ではなくて兼業農家でしたから田畑で穫れる作物は家族で消費し、余剰分を農協を通して販売していました。兼業農家であっても農業は環境整備に手間がかかります。隣接する農地を所有する農家と良好な関係を築き、水利権に関する手続きや管理、農協との付き合い、地域の農家の集会への参加など・・。私の実家にも、年に何回か近隣の農家の主人達が集まって夜遅くまで話し込んでいましたね。世間話や農地の手入れの仕方、農協との付き合いについて等、色々と話していたようです。子供心に、田畑を維持管理する事と近所付き合いはセットなんだなと思いましたね。同じ川から水を引き、隣の田畑の手入れの仕方が悪ければ影響を受けてしまう。その逆も然り。だからこそコミュニティ内の団結と意志疎通は欠かせない。その形態だけは昭和も令和も同じなのではないかと思いますね。こういう話をすると「絶対に農業はイヤ!」と思う人がいるかもしれませんが、農家の集合体は個人事業主の集合体なので明確な上下関係は無く基本的に対等な関係ですから、中に入れば意外と閉塞感はあまり感じないと思います。無論、年齢や農業経験の長さなどによって多少は発言力の強弱が生じると思いますが。兼業農家や小規模農家が日本の農業の生産性を下げている、農地を集約化して大規模経営を行える農業者を増やすべきとする意見もよく見かけます。確かに国の食糧自給率を高いレベルで維持する為には効率的に食糧を大量生産出来る業者が必要ですし、そうした業者を育成支援する現行のシステムを更に拡充する事も緊急の課題です。ただ、そうした専業農家を支援すると同時に小規模且つ兼業的な耕作をする人口を増やす事も大切になってくると思います。少なくとも食糧危機の場合には政府が面倒を見なくて済むので国の負担が減りますから。現在、農地は農地法によって事実上専業農家しか購入出来ないようになっています。農地法は農地を守って日本の食糧自給率を維持する為に厳格に運用されています。ただ、農地以外への転用を禁止するという条件付きで、専業農家以外の人でも安心してカジュアルに農業を楽しめるシステムや環境を作ってみるのも良いんじゃないかなと思いますね。会社勤めの人や仕事をリタイアした専業農家以外の人が「自分が食べる分だけちょっと作ってみたいな」というような感覚で一反(300坪)だけ購入して耕してみるとか。そうなれば「僕もやってみようかな」「私でも出来るかも」と多くの人が農業に足を踏み入れるきっかけになります。1人でコツコツと作業するのが好き、自然が好き、生き物を育てることに喜びや生き甲斐を感じる・・そういう人は多いと思いますから。若い世代だけではなく、農業経験の無い中高年世代も気軽に農業に参入できるようなシステムを作っていって欲しいと思いますね。