中東紛争

中東紛争が再燃中です。パレスチナ紛争については私が子供の頃からよくニュースで見ていましたが、何十年経っても全く状況が変わっていませんね。イスラム教徒とユダヤ教徒が聖地エルサレムを巡って延々と不毛な戦闘を繰り広げています。中東紛争については複雑な国際情勢や数千年に及ぶユダヤ民族の歴史、19~20世紀のイギリスの外交政策キリスト教イスラム教の成り立ちや対立の歴史、オスマントルコと欧州との関係等といった事柄についての知識が無いと正確に理解するのは難しいと言われていますが・・。なのでこの記事も、中東紛争の背景をある程度理解している方が読んでいるという前提で書かせて頂く事にします。基本的には、ユダヤ人&英米仏がパレスチナエルサレムに住んでいたイスラム教徒を追い出してユダヤ国家(イスラエル)を建国したわけですが・・。当然世界中の20億人ものイスラム教徒がテロを含めた激しい抗議活動を行い、その結果イスラエル内にイスラム教徒の自治区を設けてユダヤ人と共存するという和平案が国連等の仲介で実現したのですが(パレスチナ自治区及びガザ地区)・・しかしイスラム教徒の中には、元々はアラブ人・イスラム教徒が長年住んでいたパレスチナ、その中にあるイスラム教の聖地でもあるエルサレムを奪ったユダヤ国家を滅ぼそうという集団が多数存在しており、その中でも最も勢力のある過激派グループのハマスが10月7日にイスラエル領内に数千発のミサイル攻撃を行い事実上の戦争状態に突入しました。イスラエル軍も直ちに応戦し戦闘が激化、パレスチナイスラエル双方で数千人の犠牲者が出ており、特にガザ地区での被害が大きい・・という状況です。イスラエル建国については19世紀に世界各地で植民地政策を展開していた欧州・キリスト教諸国が強引に後押ししていた経緯もあるので、それに対する元植民地の国々の反発もあり、現状ではパレスチナ側に同情している国の方が少し多いかなという状況の様です。背景にはキリスト教ユダヤ教徒イスラム教の対立構造もあるのでキリスト教諸国としてはイスラム教徒に聖地エルサレムを渡したくないという思いもあるでしょう。(エルサレムユダヤ教キリスト教イスラム教の3つの宗教の聖地とされています)11世紀~13世紀にキリスト教徒が聖地エルサレムイスラム教徒から奪還する為に十字軍を結成して遠征を行った歴史もありますから、キリスト教と源流を共にするユダヤ教徒支配下にある方がまだマシだという感じではないかと思いますが・・。パレスチナ&ガザ自治区は国家としての独立を目指しており国際社会の承認を求めていますが、当然ながらイスラエルとその支援者の欧米は承認していません。

日本は中立的立場を維持しており欧米は製造者責任(?)もあるので当然イスラエル支持、ロシアと中国は基本的には中立、アフリカ諸国は(特に北部は)パレスチナ寄り、アジア・南米諸国の多くは中立あるいは立場を明確にせずといった状況のようです。最終的には少なくとも聖地エルサレムを特定の国が所有権を持てない人類共有の財産としてイスラエルパレスチナから切り離し、国連とエルサレム周辺諸国によって共同管理するしかないのでは・・とも思いますし、そうした提案をする専門家もいるようです。実際にイスラエル建国直前の1947年にはエルサレムはどの国にも帰属せず国連の管理下に置くという取り決めが国際会議で採択されたのですが、その後1967年にイスラエルエルサレム全域を武力で占領し自国の首都だと宣言してしまいます。しかし国際社会とパレスチナイスラム教諸国はそれを認めず、従って現在もイスラエルの首都は国際的には存在していないという事になります。なので各国は(勿論日本も)大使館をエルサレムに置いていません。エルサレムを首都として占領し続けるイスラエルとそれを認めない国際社会とパレスチナイスラム教諸国という関係が現在も続いています。また、国連はキリスト教徒が多数派のアメリカの財力によって事実上運営されており、当然主導権もアメリカが握っていますし本部もN.Yにあります。その為アラブ諸国やロシア等の反米諸国は国連を完全に無視している状態です。従ってパレスチナアラブ諸国が国連にエルサレムを任せる事に同意する可能性は低いでしょう。国連は信用出来ない、エルサレムは自分達の力で取り戻すしかないと考えテロを繰り返している状態です。しかし現実的にパレスチナイスラム勢力が武力でイスラエルに勝てる見込みは少ないと考えられますし、かといって特定の国が仲介して収まる状況ではないので、やはり国連が動くしかないでしょう。国連の幹部にイスラム教を含め多様な宗教的背景を持つ人材をより多く迎え入れ、アメリカ頼みの財源を見直すなどして欧米以外の国々から信頼を得られるように組織改革を行い、その上でエルサレムの帰属についてパレスチナイスラエル双方と建設的な和平仲介交渉を行ってくれたらと思いますね。国連がアメリカから独立出来れば中東紛争だけでなく世界のより多くの地域で仲介役としての役割を果たす事が出来るのではないかと思います。