EV(電気自動車)の時代に

日本政府は2050年までに自動車産業における「完全な脱炭素」を目指すと表明し、2030年代半ば頃にはガソリン車の新車販売等を禁止すると示唆しているようですが(ハイブリッド車は規制対象外)・・本当にそれでやって行けるのだろうか?という疑問が湧いてきます。EV(電気自動車)ですから全国各地に充電スタンドを整備する心要がありますが、あと10年で全国津々浦々に充電スタンドを設置出来るのか?その電源を確保維持出来るのか?という懸念が拭えません。今のところハイブリッド車は販売・使用の規制対象外なので、ハイブリッド車に買い替えれば当面はガソリンスタンドで間に合うということなのかしもれませんが・・。ガソリン使用による二酸化炭素や有害物質の排出が環境に良くない事は確かなので、いずれは総量を削減し他のクリーンな動力源を増やさなければならない、なので、自然環境に対する負荷が小さいと評価されている電気自動車の導入は妥当だと思いますが、動力源の置換は大規模なインフラ整備と産業構造の変革を必要とするので、それ相応の時間をかけて無理の無い長期的なプランを立てなければなりません。増してや自動車産業は日本経済の柱とも言える分野ですから拙速な産業改革プランは自動車産業に大きなダメージを与えかねませんし、そうなれば日本経済に与える影響も甚大なものになるでしょう。「2050年までにガソリン車を廃止」ではなく、「製造販売の大部分をEV若しくはハイブリッド車にするように努力義務を課す」という形でも良かったのではないかな・・とも思います。2035年頃には欧米ではガソリン車はハイブリッド車も含めて販売出来なくなりますが、中国や南アジア、中東・アフリカ諸国、南米等では一部を除いてガソリン車の市場は残ると見込まれており、それに加えて日本国内でも一定の枠内で市場を残せば商売としてはまだまだ成立すると思います。(中国ではガソリン車は2035年頃に販売禁止、但しハイブリッド車は販売可)また、山間部や豪雪地域が多い日本では持ち運び出来る液体燃料を動力源とするガソリン車の方が利便性が高い場合もあります。環境にあまり良くないという面はありますが、条件付きでの利用ならばガソリン車を許可しても良いのではないかなと。EVに軸足を移しつつも、状況次第ではガソリン車の芽も残して置くという選択肢があってもいいのではないかと思います。欧米各国は「地球温暖化防止の為、二酸化炭素削減の為にガソリン車を全面廃止、それをしない国には制裁を」という姿勢ですが、そもそも地球温暖化の原因は人間が排出する二酸化炭素だけではなく、地球という惑星の本来の活動によって生じた様々な自然現象も複合的に関与しているので、人口的に生成された二酸化炭素を最大限に抑制しても殆ど効果が期待出来ない可能性もあります。また、EVの電源を確保しようとするならば、その過程でガソリン車以上の二酸化炭素を排出してしまうのではないかという意見もあるようですが、現段階でそれについて厳密に検証する事は難しい。将来的にはEVにも環境破壊につながる側面があると見なされる可能性もあります。そういった未確定の要素を勘案しながら、日本はある程度欧米に歩み寄り、また一方では少し欧米とは違う立ち位置で自国の自動車産業を守って行けるように慎重に動くべきだと思いますね。近い将来には電気以外のクリーンエネルギーによる自動車が実用化されるだろうとも言われていますが、その分野での日本メーカーの躍進を期待したいところです。余談ですが、欧米の脱ガソリン、脱石油政策の裏にはアラブ諸国VS欧米、つまりイスラム教VSキリスト教ユダヤ教という対立構造があるというのはよく云われている話ですが、確かにガソリン車の禁止を予定している国の殆どはキリスト教圏の国々です。(イスラム教のインドネシアなどの例外はありますが)そうした対立とは無関係の日本ならば両陣営とは少し異なるスタンスでEVとガソリン車を効率良く使い分ける事が出来るんじゃないかなとも思います。