芸能事務所の闇と末路

 先日、某有名芸能事務所において数年前に亡くなった前事務所社長が複数の未成年の所属タレントに対し長年に渡り性的暴行を行っていたという疑惑が表面化した為、事務所が公式にその疑惑の存在を認め性的加虐行為を放置していた可能性があると認め被害者達に謝罪しました。元所属タレント達が複数のメディアで前社長による性加害行為を告発し、その動きが拡大した為事務所としては対応せざるを得なくなったようです。本来ならば被害を受けた未成年のタレントが親に相談し、親が事務所を訴える形になっていた筈ですが、そうはならなかった。成人後も被害を受け続けたタレントは多数いたが前社長の存命中は誰一人として社長を法的に訴える事が出来なかった。未成年のタレントの親達は子供への影響を心配して事務所と内々に話し合って示談で済ませたというケースもあったのかもしれませんが・・。誰も訴えずにいる間に社長の加害行為が繰り返されて被害が拡大した、ということのようです。事現時点でも被害を訴えているタレント達は事務所に対して訴訟を起こしている訳ではなく、メディアを通して告発するという形に留めています。よほど前社長が怖かったのか、あるいは何か複雑な背景があるのか・・?その辺りが気になりますが、問題の前社長は既に故人ですし、法的に故前社長や事務所を訴えている人間がいない以上は警察も動けないでしょうから疑惑の真偽や詳細が明らかにされる事は無いでしょう。結局は現社長が公的に謝罪し、被害を訴えている人々と個別に話し合って和解する事で幕引きとなるような気がします。正直なところ、誰か1人くらいは証拠となるような動画や音源を持っているのではないか?とも思いますが。それにしても週刊文春を除く全ての大手メディアが多数の未成年者に対する性加害疑惑事件を知リながら全く報道出来なかったというのも衝撃的です。

個人的な見解ですが、今後は芸能事務所というシステム自体が衰退して行く可能性があるような気がしますね。芸能事務所の多くは地上波の無料放送を発信基盤としています。地上波で高齢者や子供にアピールできるのでネット内でも一定の集客力はありますが、高齢者や低年齢層も地上波に見切りをつけてネットに比重を移しつつあります。今はネットで個人として発信して人気を獲得出来れば大金を稼げる時代ですし、若い世代は事務所のバックアップで活動しているタレントよりも事務所に頼らず自分の能力だけで人気を獲得出来るインフルエンサーに憧れています。YouTuberは子供の憧れの職業No.1とも言われています。芸能事務所と言えば映画やドラマの大作に出演出来るチャンスがあるというのが強みですが、その価値も昔ほど絶対的なものではない。ドラマや映画といったコンテンツも少額の資金で自主制作出来る時代になるでしょうし。AIがリアルなバーチャル俳優を作成し、膨大なデータを参照しながら脚本・演出・編集・テーマソングの作曲作詞歌唱まで全てをこなせれば低予算で作品を制作し低価格で販売出来ます。その中には安くてクオリティの高い作品もあるでしょう。そうした中小の制作会社や個人制作の映像コンテンツが激増すれば、それらとの競合で大規模予算の大作も苦戦を強いられるようになるかもしれません。実写映画やドラマを見る人が減少している現在、芸能事務所に所属してドラマや大作映画に出演しても知名度は大して上がらないし人気も出ない。尚且つ所属事務所の意向に逆らえずパワハラモラハラは当たり前で性的被害のリスクもある。事務所に所属して理不尽な人間関係や契約に縛られるよりフリーでネット活動した方が早道かも・・と考える人が今後増えるかもしれません。